読書メモ:『盤上の向日葵(中央公論新社/柚月裕子)』
なんかもうテンコ盛りの作品だなぁ、というのが読後の印象。著名な将棋の駒の行方が鍵を握るミステリーで、主人公は異色の将棋指し。若い刑事とベテラン刑事による松本清張風の地道な捜査がベースになっているけど、砂の器風の幼少期の物語が始まったり、突然小池重明調の真剣師の世界が展開したりして、多方面から楽しめる。フルオプションの大河ミステリーロマンといったところだろうか。ただ、なぜかタイトルの「向日葵」だけは印象薄いんだけどね。
私的には、真剣の旅のカラクリ(ネタバレになるので多くは書かないけど)にイタク感動した。そんな手があったのか、と。オススメの一冊だと思う。